風邪を引かない人になりなさい。
「這ってでも会社に出て来い!」
体調不良を理由に休暇を願い出ても、にべもなく拒絶されてしまう。そんな時代があった。為せば成る。そう信じる精神論が、この国ではつい昨日まで脈々と息づいていた。滅私奉公を強要される社会では、体調不良など気が緩んでいる証拠。甘えるのもいい加減にしろ、と跳ね返された。さすがに平成も終わろうとしている現代では、感染症の知識も深まったこともあり、健康を精神論で管理することを求める声はあまり聞かれなくなった。偶然かもしれないが、電通が鬼の十則を手帳に掲載しないと決めた2017年は、精神主義の崩壊を象徴する年として広告業界の歴史に刻まれるかもしれない。